大判例

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東京高等裁判所 昭和35年(う)194号 判決

被告人 蕨忠蔵 外一名

〔抄 録〕

元来公職選挙法第百四十二条において、通常葉書を文書図画による選挙運動の正規の用具として認めた以上、これが頒布の方法もまた当然郵送によるべきことを予想したものであるというべきであつて、かかる解釈は常識上も容易に肯認し得るところであるといわなければならない。それ故、公職選挙法第百四十二条第二項により正規の表示を受けた選挙用葉書であつても、これを郵送の方法によらないで、たとえば通行人に手渡すとか、人をして配達させるとかの方法によつて使用するときは公職選挙法第百四十二条第二百四十三条第三号の違反となると解すべきであつて、この点は公職選挙法第二百七十二条第一項に基き制定された公職選挙郵便規則の規定、なかんずくその第九条第十条等の規定からいつても十分その裏付けがあるというべきことは原判決説明のとおりであるから、これに反する所論は独自の議論として採用の限りではない。のみならず、原判決の挙示した証拠によれば、本件被告人らは、本件四十八枚の選挙用通常葉書が所定の表示を受けたものではあるが、一旦郵送のため通常郵便ポストに投函された後、郵便配達人から改めて正規の手続により郵便局の窓口に差出して郵送すべきであると告げられて返戻されたに拘らず、その時は既に選挙期日が迫つていたので、改めて正規の郵送手続をとつていては選挙に間に合わないところから、敢えて自分らの手によつて各名宛人に配達し以て頒布を遂げたものであることが窺われるから、被告人らに法律違反の認識があつたことは言をまたない。ひつきよう、原判決には所論の如き事実の誤認その他の違法は存在しないというべきである。

(三宅 東 井波)

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